共同発案者は加害者/被害者の「子」や「孫」
古川徳浩・植松青児の2 名が共同発案者となり、賛同するかたがたと「コレクティブ」を作りながら協同で進めていきます。
◉古川徳浩/現・浄化槽メンテナンス業ほか。父は 1937 年以降戦争3度徴兵され、中国侵略戦線に送られる。母は空襲で被災。2024 年より新宿や渋谷の路上アクションで音響・映写機材の提供・サポートに携わっている。
◉植松青児/現・スーパー店員ほか。母は呉海軍工廠(広島県)に徴用、呉市街空襲で被災。母の父は広島原爆で入 市被爆(5 年後病死)するが、8 月5日までは朝鮮人徴用工を使う土木会社の日本人社員だった。
「本読みデモ」から一歩踏み込んで「路上ゼミ」へ
「」イスラエルの大量殺戮が未だに続き、しかもそれを擁護するような報道があふれ、ドイツやアメリカでは抗議する者を容赦なく弾圧し、日本の政府はイスラエルの兵器産業と協調的な関係づくりに勤しむ……植民地主義は過去の遺物ではなく、現在進行形で人々を踏みにじっている、それは今始まったことではない、日本を含めて世界(の「先進国」と呼ばれる国々)は未だに植民地主義を手放すことができていない……
共同発案者の古川と植松がまず考えたことは、この惨憺たる状況の中、「たった2人で何ができるか」でした。たった2人でできる最大限のことは何か。そこから「多くの人が行き交い、アジア各地域にルーツを持つ人も訪れる新宿の路上で、脱植民地主義と向き合い、話し合う場をつくる」というアイデアが生まれました。
手がかりになったのは、パレスチナでの大量殺戮が始まった直後から、長野県松本市をはじめ各地で行われている「本読みデモ」でした。イスラエルの暴虐をきちんと報道しないメディア状況の中で、路上で歴史書を読むことで、状況に「抗う」意志を示す本読みデモの趣旨に共感しました。
そして古川・植松の2人は、2024年(昨年)7月に新宿駅東南口(大きな木の下)で、広島市主催の平和祈念式典への(ジェノサイドを続ける)イスラエル代表招待に対し抗議を呼びかけ、100人以上で抗議アクションを行った経験がありました。このとき、スクリーン・プロジェクタ・スピーカーと電源バッテリーを持ち込んで、視覚伝達を前面に押し出し、大きな効果がありました。この手法を活用すれば、新宿の真ん中の喧噪の中でも、ある程度まとまった議論ができるだろうと考えました。
「何ができるか」というグループ討論に触発されて
さらに、今年(20205年)1月に東京・早稲田で行われた「ソムードの集い」主催のイベントで、「わたしたちに何ができるか」というグループ討論が行われ、その討論に参加したことが、わたしたち2人の背中を押しました。「本読みデモ」からさらに一歩踏み出して、「わたしたちに何ができるか」を路上で話し合うこと自体が、このおぞましい状況に「抗う」ことでもあり、新しい可能性に開かれているのでは……と考えました。
新たな「学び」「気づき」「試み」のきっかけになれば
もちろん、「路上大学」は毎日恒常的に開けるわけではありません。月1〜2回、1〜2時間ほどで、脱植民地主義という膨大な問題を議論しきれるとは思えません。
それでも、「路上大学」は有効な起点の1つにはなりうるだろうと思います。参加者同士で「ともに考える」関係が生まれること、そこからオンラインの学習会や読書会などの動きが生まれること、さらにはまた新たな試みが生まれること、そういうきっかけになることを期待しています。
第1回は、4月30日(水)19時〜、日本も深くコミットしたベトナム戦争の終結から50年の日です。
路上大学へようこそ。